精油とくらし
香りのもたらす
働きと機能性
アネルズ あづさ
医学博士
株式会社Blue ink代表取締役
ARTQ INSTITUTE 校長
プロフェッショナルアロマセラピスト
皆さんは化粧品やヘアケア製品を選ぶ際に何を基準に選びますか?
機能性や価格はもちろんですが、中には「香り」が大事という方も多いのではないでしょうか。毎日使うものだからこそ、機能が優れていても「香り」が好みでないとテンションが下がってしまいますよね。「香り」は鼻から取り込まれて脳にダイレクトに伝わるため、他の感覚よりもより強く感情や記憶に訴えかけるそうです。
「ケア」と「スタイリング」の両方を叶えるケアスタイリングブランドmmから新しく誕生したスカルプケアシリーズの香料を監修いただいた株式会社Blue ink代表のアネルズあづさ先生に香りの働きについてお話をお伺いしました。
はじめに
私たちは普段何気なく様々な場面で「香り」を感じ、そして「香り」を活用し、「好きな香り」「嫌な香り」とそれぞれに判別しながら生活をしています。
しかしその「香りや匂い」の好き嫌いということ以外は、
香りや匂いが一体どのようなものなのか?
私たちにどのような影響を与えているのか?
ということはあまり考えたことがありません。
仕組みでお話しすると、私たちの日常生活の中にある「香り」は、普段鼻で感じる感覚であり、五感の中の「嗅覚」で匂いを感じるとして認識されていますが、自然発生的に生じる香りや匂い、また人工的に人間が作った香りと匂いの両方が存在します。
さらにその中に好ましく感じる香りや匂い、不快に感じる香りや匂いというように分岐しながら、私たちは日々感覚的に判断・選択し、生活の中の香りを彩っています。
そして、食事をする場面でも、仕事をする場面でも、物を使う場面でも、日常生活の中で香りや匂いを感じることがない空間はまず存在していないと言えるほどに、「嗅覚」は、私たちの感覚を常に刺激している大切な感覚であることに気づくことができます。
嗅覚は五感の中でも研究が遅れている分野ではありますが、嗅覚受容器に関する研究が2004年ノーベル医学生理学賞を受賞してからは、研究における論文の数が急速に増えている分野です。まだまだ新しく未知数の部分が多い分野であると言えますが、「香りや匂いが私たちに与える影響」は、私たちの中にある「原始的な感覚」として、これまでの歴史が物語ってきたその結果を丁寧に紐解きながら、研究に沿ってホルモンバランスのサポート調整や、メンタル面の不調和の整え、自分ではコントロールできない自律神経と香りとの関連性など、今後さらに興味深い分野としてクローズアップされることは間違いありません。