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guest talkゲストトーク

美容業界「ヒットの法則」はどこにある?

株式会社ビューティーエクスペリエンス 代表取締役社長 福井 敏浩 × Belle代表 飯田 尚士

2016年に発売し多くの美容師様やお客様からご支持を頂く、ヘアカラー剤『THROW(スロウ)』。
2018年にはヘアケアラインも仲間入りし、人気ブランドへと成長しています。
その製品開発からイメージビジュアルづくりまでご協力をいただいた美容室Belle代表の飯田尚士さんと、美容業界に隠れる「ヒットの法則」についてお話をさせていただきました。

――不満の中に隠れる“ヒット”

福井
『スロウ』の開発には、飯田さん始め、堀之内さん、Belleカラーリストの堀さん、樺井さんにもご協力をいただき、本当にありがとうございました。
飯田
こちらこそ、貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。『スロウ』では“美容師目線”を徹底して、本当に美容室で必要なものをつくらせてもらいました。
福井
WEB・SNSの普及によって、お客様の色みに対してのこだわり、サロン様での仕上がりの期待値も高まっていますよね。
飯田
そうなんです。その結果、数年前から現場では「結局、アッシュしか使わないよね」「1日に何十本も使うカラー剤は値段がおさえられていないと、ずっとは使えない」そういった話が必ず出ていました。けれど、当時その不満を解消できるヘアカラー製品はなかったんです。
福井
そのお話をお伺いした時、その現場からの声は必ず解決しなければならない課題だと感じました。結果、Belleさんには約2年半の開発期間中“外国人風”のアッシュの発色に徹底的にこだわっていただきました。日本人特有の赤みを抑え、表現が難しかったアッシュの発色が1本で叶えられる、そのこだわりが高い評価を受けていると感じています。
飯田
開発には長い期間がかかってしまいましたが、ビューティーエクスペリエンスさんのおかげで『スロウ』は、アッシュ中心の色相だけにしぼり、価格もおさえることができました。多くの美容師さんに「こういうのが欲しかった」ではなく「これだ!!」と思ってもらえる製品になったと思っています。
福井
ヒット製品は、いつも誰かの問題意識から始まりますよね。

――目に留めることから始まる“ヒット”

福井
飯田さんは、美容専門出版社からプロ向けに『フィニッシュワーク○×の教科書』という書籍を出版されましたよね。このタイミングで「フィニッシュワーク(ヘアアイロンやスタイリング剤を使用した仕上げのこと)」に注目された理由は何でしょうか。
飯田
そうですね、美容業界では今SNSでの集客が主流になり、見せ方の重要性は高まっています。逆に、お客様の目に留まらなければ、次のアクションは期待できないんですよね。だから「何かこの写真いいな」と思ってもらうために、見せたいところをきちんと見せる。どこか1カ所だけでも刺さってくれれば来店してくれる動機になります。その動機をつくるのがフィニッシュワークだと思うんですね。
福井
なるほど。このWEB・SNS時代だからこそ、フィニッシュワークということですね。仕上げる際、今美容師さんが求めているスタイリング剤はどういうものでしょうか。
飯田
動きをつけたり、スタイルをキープしたいというのはもちろんですが、質感(ウエットやドライ)でオシャレに見せたいという気持ちが美容師としては大きいですね。
福井
一方で、お客様からは、ベタつくなどの理由で、スタイリング剤はできるだけつけたくないとおっしゃる方が多いと聞いています。
飯田
福井さんも以前おっしゃっていましたが、セット力がなく、使うことにストレスのないナチュラル系のオイルやバター系のものが主流で人気ですよね。今回書籍の中のフィニッシュワークでも使用させていただいた『mm(ミリ)』は、セット力がありながらもお客様にとってストレスのないスタイリング剤になりそうですね。
福井
美容師様とお客様のギャップを埋めるスタイリング剤を目指して開発しました。特に大人女性向けのケアにも注力した製品になっています。ニーズがあって、問題を解決する製品というのは、必ず支持されると思うんですよね。
飯田
美容業界で“見せ方”“問題解決力”は、今後ますます大切になっていきそうですね。

――“ヒット”の鍵はデジタルマーケティングにあり!?

福井
Belleさんのホームページはモデルさんを起用したビジュアルがとても印象的ですが、狙いはどこにあるのでしょうか。
飯田
Belleのホームページの目的は集客ではなく、実はよい人材を集めることです。年に2回発表する「Belle collection」の作品はもちろんお客様にも見ていただきたいのですが、美容師さんが見ていいなと思ってもらえるように意識しています。
福井
美容業界全体の課題「求人」に対する、Belle流ソリューションの1つですね。
飯田
『スロウ』の発売と同時にリリースした、ヘアカラーに特化したWEBメディア『THROW journal(スロウ ジャーナル)』もデジタルマーケティングの1つですよね。
福井
そうですね。『THROW journal』は、ヘアカラーの知識を求める多くの女性へのサポートを目的に、約70名の美容師ライターの方のリアルな情報を届けるためにリリースしました。消費者の不満解消、ニーズを察知するために、今後ますますデジタルマーケティングは重要になると思います。
飯田
『THROW journal』で今まであまり使用されないアクセントカラーのブルーが記事で取り上げられたことで話題となり、ブルーが一番売れている色番と聞いた時は、驚きました!
福井
私たちも驚きました。製品がいいのは当たり前、提供の仕方も差別化が必要な時代になったと感じています。さらに、弊社ではデジタルを活用することで、訴求したい製品や、提供価値、正確な情報を迅速に美容師様や一般のお客様へ広範囲にお届けできると考えています。

――“ヒット”をつくる2人の共通点

飯田
最後に福井さんにもお伺いしたいのですが、会社を経営する上で大切にしていることは何でしょうか。
福井
弊社は一貫して「新しい美の体験」を多くの女性に届けることです。そのために、お客様や美容師様の潜在的ニーズまでも満たせる製品をつくることを大切にしていますね。飯田さんは、どのようなことを考えていらっしゃいますか?
飯田
どんな時も「Belleの基本は人」をぶらさないことでしょうか。僕は美容室の一番の売り物は人だと思っているので。例えば、スタッフの夢を叶えてあげること、自分自身がスタッフの目標になれるように“背中の見える代表”を必死に目指していますね。
福井
どちらも誰かや何かの「問題を発見」して「課題を解決する」という共通点があるかもしれませんね。
飯田
そうですね、「ヒット」をつくることも「経営」することも同じということにもなりますね。
福井
本日は、楽しくお話をさせていただきありがとうございました。
飯田
こちらこそ、ありがとうございました。

飯田 尚士 氏
美容室Belle代表
1978年生まれ。
窪田理容美容専門学校を卒業後、都内2店舗を経て2010年表参道店をオープン。
2013年原宿店、2015年銀座並木通り店、2017年吉祥寺店、2018年銀座5丁目店をオープン。オーナー兼スタイリストとして週5日のサロンワークをこなす。
「Belleっぽいヘア」は多くのお客さまに支持され、女優やモデルのお客様も多い。
http://belle-omotesando.jp/