ハチミツに毛髪の紫外線ダメージを抑制する効果を発見
2016.02.08
― 2016年3月末日 日本薬学会第136年会(横浜)にて発表予定 ―
株式会社ビューティーエクスペリエンス (本社:東京都新宿区、代表取締役社長:福井 敏浩) さいたまR&Dセンターは、これまで東京工科大学大学院 バイオ情報メディア研究科の前田 憲寿 教授との研究プロジェクトで、紫外線による毛髪ダメージについて研究を行なってきました。今回、ハチミツの抗酸化作用について評価を行ない、毛髪の紫外線ダメージを抑制する効果を確認しました。これらの知見を今後発売予定の製品に応用しています。本研究は、2016年3月末日の日本薬学会第136年会(横浜)で発表する予定です。
■研究背景と目的
毛髪は紫外線によってダメージを受け、そのダメージが蓄積されると、毛髪の赤色化やキューティクルの剥離などが生じます。さらに、カラーリングをした毛髪や濡れた毛髪は、紫外線の影響を受けやすく、毛髪のパサつきや枝毛を生じさせます。これらは、活性酸素やフリーラジカルが強く関与しており、毛髪を構成するタンパク質、アミノ酸、脂質などの酸化分解の蓄積によって生じると考えられています。そこで、我々は抗酸化物質として「ハチミツ」に注目しました。ハチミツは、古くから世界の至るところで薬として使用されており、近年では美容成分としても広く用いられています。ハチミツには、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用などの優れた特性があり、紫外線による毛髪ダメージを抑制する成分として大いに期待できます。
■研究の成果
・ハチミツのラジカル消去活性
ハチミツはDPPHラジカル由来の吸光度(520nm)を減少させ、DPPHラジカルを消去することがわかりました(図1)。 つまり、ハチミツには活性酸素やフリーラジカルを消去する抗酸化作用を有することが示唆されます。これは、評価した全てのハチミツ(ニュージーランド産マヌカ蜂蜜、ニュージーランド産クローバー蜂蜜、スペイン産ローズマリー蜂蜜、スペイン産オレンジ蜂蜜、カナダ産ラズベリー蜂蜜、カナダ産ブルーベリー蜂蜜、イタリア産レモン蜂蜜、イタリア産アカシア蜂蜜の(全8種)について、同様の結果を確認しています。
・毛髪の脂質過酸化の抑制
毛髪は紫外線によって酸化され、脂質の一部が過酸化脂質に変化することが知られています。そこで、過酸化脂質を検出できる蛍光試薬を用いて毛髪の脂質過酸化を評価しました。ハチミツを配合していない水溶液に浸漬させた毛髪は強い蛍光を発しましたが、ハチミツを配合した水溶液に浸漬させると、蛍光が弱くなりました(図2)。これは、ハチミツが過酸化脂質の生成を抑制していると考えられ、紫外線の毛髪ダメージを抑制する成分として期待できます。
■用語解説
(1)活性酸素・フリーラジカル: 反応性が高い物質で、生体内に過剰に存在すると、様々な悪影響を及ぼします。
(2)抗酸化物質: 活性酸素やフリーラジカルを取り除き、酸化の働きを抑える物質です。
(3)過酸化脂質: 活性酸素やフリーラジカルによって酸化された脂質です。また、活性酸素やフリーラジカルの発生源ともなり得ます。