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10月20日は「頭髪の日」b-exがスタイリングの“快適な使い心地”に関する技術を開発

2023.10.20

株式会社b-ex(本社:東京都世田谷区、取締役社長:福井敏浩)R&Dセンターは、これまで着目していたヘアスタイルの「持続力」についてさらに研究を進め、持続力に加え、新たに使い心地の良さを実現する技術を開発しました。b-exではこれらの知見を今後の製品開発へ応用してまいります。

研究背景・目的

ヘアスタイルにおいても定番のスタイルに新しさをプラスした、多様性が求められるようになりました。また、スタイリング力はもちろんのこと、ケア効果や使いやすさなど、プラスアルファの付加価値も求められています。このようなトレンドの変化にいち早く着目し、本研究では”使い心地”にこだわった処方技術と評価技術を開発しました。ヘアスタイルの持続力と併せて、「伸ばしやすい」「ムラなく塗布できる」「洗い流しやすい」といった、より使いやすい製品の開発が可能になります。

研究の成果

  1. べたつきが少なく、伸ばしやすい処方技術と評価技術について
    一般的に固形脂などを組み合わせたバター状の処方はべたつきやすい、手のひらでなかなか伸ばしにくいという声が上げられていました。これらの懸念点を改善すべく、高い吸油性もつ成分「カオリン」に着目しました。
    ① べたつきについて
    《検証方法》
    「シア脂のみ」と「カオリンとシア脂を混ぜ合わせもの」をそれぞれ手のひらに塗り、手のひらに張り付くスパンコールの枚数をカウントすることで、べたつきを定量比較する方法を見出しこの方法で製剤の有効性を検証しました。
    《検証結果》
    スパンコールの張り付いた枚数は「カオリンとシア脂を混ぜ合わせもの」の方が少なく、シア脂にカオリンを混ぜ合わせることでべたつきが少なくなることを見出しました(図1)。本結果を開発品に応用しています。
    ② 伸ばしやすさについて
    《検証方法》
    開発品Aと当社既存品を同量手に取り、人差し指で一定の力とスピードで伸ばし目視にて、目視にて均一に広がる性質(展延性)が評価できることを見出し、この方法を用いて製剤の有効性を検証しました。
    《検証結果》
    開発品Aは当社既存品よりも伸びが良いことが分かりました(図2)。カオリンの配合とエステル油・固形脂のバランスにより実現した処方技術によるものであり、べたつかずに伸ばしやすい使い心地を可能にしています。
  1. 毛髪の広がりを抑制し、持続する効果について
    《検証方法》
    くせ毛を高湿度条件に静置すると毛髪が広がるという性質を利用し、毛髪の広がり抑制効果を検証しました。毛髪を撮影した写真で毛束の横幅を画像解析することで、広がり度合を算出します。
    《検証結果》
    クリームタイプの開発品Bを使用することにより毛髪の広がりを抑制する効果があり、さらに、24時間持続することを確認しました(図3)。開発品Bはスキンケアにも使用されている固形脂を配合しており、油剤との組み合わせにより毛髪のうねりをしっとりとまとめてナチュラルな質感を表現できる処方技術を開発しました。

3.高いセット性と使いやすさを実現した処方技術と評価技術について
① 高いセット性について
《検証方法》
ウィッグにクリームタイプの開発品Cを用いてスタイリング処理をした後、高湿度下※に一定時間静置して、ヘアスタイルの持続力を評価しました。
《検証結果》
開発品Cを用いることにより、高湿度下※でも1日中崩れないことを確認しました。(図4)
② 使いやすさについて
以下3つのポイントを新たに確認しました。
《検証方法》
・伸ばしやすさ :前述の【研究の成果1②】と同様の方法で試験を行い、展延性を評価しました。
・塗布の均一性:青色に着色した製品を手の指先に伸ばし、ヤク毛に塗布して製剤の付着状態が確認できることを見出しました。本方法にてムラ付きや束感を簡便に評価することが可能となり、ウィッグなどを用いた評価よりも迅速に評価できるメリットがあります。
・洗い流しやすさ:ガラス板に製品を塗布し、シャンプー溶液中で一定数回転することで洗浄工程と仮定しました。洗浄後にガラス板に残った製品の面積を画像処理により算出し、洗浄前後の面積減少率により洗い流しやすさについて確認できることを見出しました。

《検証結果》
・伸ばしやすさ
 開発品Cは当社既存品よりも伸びが良いことを確認しました。(図5)
・塗布の均一性
 開発品Cは毛髪にムラなく均一に付着し、細かい束感を表現できることが分かりました(図6)。これは柔らかい性質を持つ固形脂を使用していること、ゲル化剤と組み合わせることで高いセット力がありつつも柔らかく伸ばしやすい使用感を実現できる新しい処方技術によるものです。
・洗い流しやすさ
 開発品Cは洗浄前後の面積減少率が高く、優位に洗い流しやすいことが分かり(図7)、使用後の使い心地の良さについて新たな知見を得ることができました。高いセット性がありながら“従来よりも使いやすい”を実現しています。

 

  1. 固めずにセットすることを可能にした処方技術とスタイリング持続力について
    ① 固めずにセットすることを可能にした処方技術について
    《検証方法》
    開発品Dは保湿剤を多く含むことを特長とするスタイリングジェルであり、処方のポイントとなる保湿剤の揮発性を確認しました。揮発性に関しては室温で静置し、時間の経過に伴って重量を測定して算出し、処方の有用性を評価しました。
    《検証結果》
    水と保湿剤2種を比較すると、水は室温でも揮発性が高くなるのに対し、保湿剤は24時間後も低いことを確認しました(図8)。開発品Dは揮発しにくいうるおい成分により毛髪間の粘着性を強め、髪の毛を固めずに毛流れを作ることができる処方であると考えられます。

② スタイリング持続力について
《検証方法》
ウィッグに開発品Dを用いてスタイリング処理を施した後、高湿度下※に一定時間静置して、ヘアスタイルの持続力について評価しました。
《検証結果》
開発品Dは5、24時間後もヘアスタイルが持続していること、さらにみずみずしいウェットな質感も続いていることがわかりました(図9)。髪の毛が固まることなく
本結果が得られた点がポイントであり、保湿剤を用いた新しい処方技術によるものと推察しています。また、固まらない利点を生かし、夕方のお出かけ前にリスタイリングすることも可能であると考えます。

  1. 雨の日でも劣らないスタイリング持続力について
    《検証方法》
    開発品Eはハードなセット力を兼ね備えたスタイリングジェルであることから、スタイルの崩れやすい雨の日を想定し前述の【研究の成果4②】と同様に高湿度下※における試験を行い、スタイリング持続力について評価を行いました。
    《検証結果》
    開発品Eは24時間後もヘアスタイルが持続していることが分かりました(図10)。セット樹脂と揮発性成分のバランスを丁度良く配合し、パリッとしたハードな仕上がりになることで雨の日の湿度に負けないスタイリングを可能にしました。

【参考情報】
※1 高湿度下:湿度80~90%

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